この物語を、性別違和を感じて苦悩している人や、生き辛さを感じている全ての人に捧げます。
わたしの魂の実体験が、一人でもいい、誰かの心に刺さり、生きる力となりますように……
勇気となりますように……
そして、この社会から、偏見、差別がなくなりますように……
この美しい星から、憎しみ、争い、戦争がなくなりますように……
やさしい心で満ちあふれますように……
そう、切に願って……
祈りを込めて……
「トランスジェンダー虹色の履歴書 vol.1 ~両親への手紙~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※わたしが診断書をもらった当時は「性同一性障害」と呼ばれていたけど、2022年現在では「性別不合」や「性別違和」と言われているみたい。
両親への手紙
てゆうか、気持ち悪くて
おぞましくて
生理的に受け付けられなくて……
どうしてわたしは……
女の子じゃないの?
人知れず、苦悩と葛藤と悲しみを抱えながら、ずっと……
男の人として人生を歩んできました。
……緊張していました。
わたし、昔からなぜか、自分を絵で描く時は女の子の姿で……
自分のことを女の子だってイメージするだけで、明るくて元気な、イキイキした自分を思い描けた。
初めて「性同一性障害」という言葉を知ったのは、とあるTVドラマを見た時だと思う。
わたしの人生に衝撃を与えた登場人物は……
↑
生まれた時の身体の性別は女の子。
でも、自認する心の性別は「男!!」の中学三年生。
涙が止まらなかった……
「これ、わたしだ……わたしと同じだ……!!」
逆パターンだけど、わたしと同じだった。
↑
女の子のような甲高い悲鳴を上げてしまった自分が許せなくて、フォークで喉を突き刺すシーン。
「彼」の痛みがわたしの胸にも突き刺さってくる……
胸が痛くてたまらない……でも……
画面から目を背けるなんてできなかった。
「性同一性障害」
「これだ! わたし、これだったんだ!!」
それでもわたしは「性同一性障害」を診てくれる病院に行こうとは思わなかったの。
ずっとずっと長い間……
だってわたし、基本的には、好きになるのはいつも女の子だったし……
↑
かつて、男の子を好きになったのは一人だけだったし……
それに、
①性同一性障害の人は、幼い頃から強烈な違和感を自覚してきた人たちっていうイメージがあったから。
そのうえ、
②わたしは子どもの頃からそんなに強い違和感を感じていた記憶はないしね。
※実はこれら①②とも、わたしの誤解だったことが後ほど判明する。
それに……それに……
「男らしく」ならなきゃって……
男の人として頑張って生きていかなきゃって……
そして年月は流れ……
たくさんの季節が巡って……
でも……やっぱり……
……って、
心の中で叫び続けている女の子のわたしがいて……
ある日、仕事の帰りに、新宿二丁目の女装サロンバー「女の子クラブ」に行ってみたの。
ひょっとすると、わたしのように「女の子の心を持って男の人の身体の中で生きている人」に出会えるかもしれないという期待も込めて。
自分で買ったウィッグをつけて、「女の子クラブ」の店内にある衣装を着て、「女装」を体験してみた。
↓
※ちなみにわたしのメイクを手伝ってくれたこの常連の「お姉さん」に聞いてみたけど、
「私は違うわよ。普通に自分を男だと思ってる。ただあまりにも女性のことが好きすぎて、こうして「女の子クラブ」に週2ペースで通って女装を楽しんでいるの」
とのこと。
「ああ、わたしとは違うのね(^_^;)」
って思った。
実はわたし、「女装」という言葉には抵抗があったの。
だってそれって、男性の人が女性の格好をするって意味でしょ?
でもわたしは……
わたし……可愛いかも(*゚▽゚*)!
わたし、やっぱり、こっちなんだ!!
それからわたしは、時と場所を選んで女の子の格好をして生活するようになった。
心を許せる信頼できる仲間……本当のわたしに戻れる場所……
でもそれ以来……
今までずっと押し込めてきた気持ちが表にあふれてきて、心の奥に押さえ込んできた女の子の心がますます強くなってしまったの。
職場の幼稚園に来るさわやかな体操のお兄さん先生に妙にドキドキしちゃって
色目を使っている自分に気づいてびっくりしたり……
「抱かれてみたい……女の子として……」
夜、お布団の中でムラムラしちゃって……
人恋しくて……
触れて欲しくて……
見て欲しくて……
「……って、こんなにエッチなわたしがいたなんて……」
もしかして女子のわたしって、性欲強めの女の子なの!?
それとも、ずっと押さえつけられてたから、その反動??
このまま年齢を重ねて、この先ますます男性化が進んでしまうなんて、そんなの耐えられない……
放っておいたら将来「おじさん」になっちゃう……
そんなの絶対無理!!!!
ホルモン治療とか、そんな先のことはわからない……
でもとにかく、この性別違和にちゃんと向き合わなきゃ、もうムリだよぉ……
専門のクリニックを受診しよう!
長年抱き続けてきたこの違和感と葛藤と苦しみに、正面から向き合うんだ!
ちゃんと診断をもらって、
そのあかつきには……
長年抱え続けてきたこの思いを、両親・家族に伝えよう!
じゃなきゃ、わたし、絶対後悔する!
本当の自分を隠したままなんて……
愛してくれている家族に心を閉ざしたままなんて……
このままじゃ、わたし、死ねない!
受診することを決めてから改めて調べたら、わかったの。
性同一性障害の人でも、自分の心の性別と同じ性の相手を好きになることは珍しくなくて、そういう人はたくさんいるということ。
愛の形は人それぞれ、虹色だもんね♪
それから、子どもの頃から自分の性別の違和感に気づくだけじゃなくて、だいぶ大人になってから気が付く人も、それこそ結婚してから自覚する人も、たくさんいるってこと。
それがわかった今、わたしにはもう、「性同一性障害」に当てはまらない条件は一つもなかった。
受診することに、もう迷いはない。
お父さん、お母さん……
こんなことを突然「息子」から打ち明けられたら、
さぞビックリさせちゃうんじゃないか……
悩ませてしまうんじゃないか……
困らせてしまうんじゃないか……
って思ったけど、でも、この先も一生、家族に心の壁を作ったまま、本当の自分を隠したまま生きていくなんて、わたしは嫌だったの。
もう、耐えられなかったの。
だから、心に決めたんだ。
ちゃんと向き合って、
診断をしてもらって、
その結果が出たら、
ちゃんと伝えようって!
この半年間、クリニックに通って、自分の性別や性に関することを幼い頃から現在に至るまでずっと振り返っていく作業をしました。
そして、次々と思い出していったの。
ずっと忘れていた色んなことを……
【つづく】
【今日の言葉】
今日、今世の命が終わるとして、あなたは悔いのない人生を生き切ったと、胸を張って言えますか?
人生なんて、本当にあっという間。
一日一日を大切に、心を込めて、精一杯に生きるんだ!
悔いなく! 自分らしく!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回
「トランスジェンダー虹色の履歴書 vol.2 ~幼少期~」
トランスジェンダーあっちの幼少期を振り返るよ。
お楽しみにね♪
幼いころ、あなたはどんな子だったかな?
わたしと一緒に、人生の原点を振り返ってみよう!
【つづきはこちらから】
↓